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COLUMN
第33回 INDY
2003.09.22 Mon
いまさら言うまでもないが、今年から我がロジャー安川選手がIRLインディカーシリーズにフル参戦している。その縁で、今年は茂木、インディアナポリス、カンザスシティ、ケンタッキー、ナザレスと5レースも観戦に行かせていただいている。今回は他のストロングススタッフのレースレポートがあるのでそういうものではなく、今回はアメリカのレースはどういうものかを説明できたらなと思っている。
まず、モータースポーツという概念から言えば、日本、アメリカ、ヨーロッパというものが全く違うなぁと言うことである。ヨーロッパのレースは、F1を始め少し閉鎖されていて、特権階級の人々が楽しむものというある種、敷居の高さが感じられ、トップチームと下位チームの予算や働く人の数、さらにはエンジンなどの格差がありすぎるのが特徴であり、F1に関して言えば何チームもある中で実質ほとんどが、フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズの3チームの争いになる。
IRLは、アメリカのスポーツと同様の考え方を見ることができる。基本的な思想としては、イコールコンディションという思想である。メジャーリーグベースボールにはイコールコンディションという思想はまだなく、ヤンキースのようなお金をかけた球団がいい選手をとっていくということになっているが、NFLでは、イコールコンディションを掲げており、どこのチームが優勝してもおかしくない状況を作り出しているわけである。だから、年棒もサラリーキャップという規制の中で、合計金額をある一定の金額の中でどこのチームも収めなければならない。そして、ステロイドなどの薬物チェックもきちんとランダムチェックで行い、規則を犯した人は出場停止なり永久追放、また軽いものならば数試合のサスペンションということになっている。インディもそういうイコールコンディションで、エンジンも3種類、シャーシが2種類ということで、もちろんインディの中ではマールボロ・チーム・ペンスキー、アンドレッティ・グリーン・レーシング、パンサー・レーシング、ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングというこの4つが大きなスポンサーを持ってやっているようだが、下位のチームも決して優勝の可能性がないわけではないところに、イコールコンディションがうまく根付いて観客が盛り上がるようになっている。インディにおけるイコールコンディションとは、先ほど言ったエンジン、シャーシという基本的なものでマシーンに差がつかないようにしている他、イエローフラッグコーションが出た時からまたリスタートということで、たとえばトップから30秒差をつけていたとしても、イエローフラッグがでたら後ろからすぐに2位がきてしまい、差はなくなる。そこでまた、レースの行方がわからなくなり、観客・視聴者はドキドキさせられるのである。F1のようにシューマッハがポールポジションから後続をどんどん引き離して、レースが始まって30分くらいでほぼ勝負がみえてしまうようなことはインディには起こりえないのである。アメリカンモータースポーツというものが、他のアメリカのスポーツ同様、イコールコンディションということを前面に押し出すことによって、ある程度の接戦や激しい戦いが起こり、見る側がどこのチームが勝つのかわからないということで興味が引かれるのである。
NFLは、スーパーボール2連覇というのはここ数年なく、毎年毎年、スーパーボールなりプレーオフ決勝、準決勝に残ってくるチームが半分以上入れ替わっている。これがまた、NFLファンの興味を引き、NFLの人気がいまだに成長し続けている理由であろう。
あと、現地に行って思うことは、とにかくレーサーとファンの距離が近いこと。特にインディのチケットでは、自分の座席のチケット以外にピットに入れるという券も売っていて、それを購入すればピット側のほうまで来ることができ、ドライバーがバイクや自転車に乗ってモーターホームからピットまで移動している時や食事やトイレなどでうろちょろしている時などに、気軽に声をかけてサインをもらったりするのを当たり前のように見かける。また、インディドライバーも余程の事がない限り断らないので、ファンサービスも徹底している。この距離の近さというのはインディカーの特徴でもあり、人気の秘訣だ。
そして、サーキットが作られるためにはすごく広大な土地が必要なので、ほぼアメリカの田舎町に作られることが多い。メジャーリークで言うといわゆる中地区に近く人口も街も中ぐらいから小ぐらいの街が多い。しかし、各レースごとお客さんが入っているところを見るとアメリカの人たちはモータースポーツが本当に好きなんだなぁと感心させられる。そして、楽しみ方がキャンピングカーで大勢で来たり、ビールを片手に応援に来たりと本当に楽しんでレースを観戦している。もっと日本人もそれを見習って、レースを楽しむという感覚を身につければ、もっともっと日本のモータースポーツは盛り上がるし、よいドライバーも育ってくるのではないかな?と思う。何故だか日本でモータースポーツをやっていると特別なイメージがあったり、地味な感じがするが、アメリカでは明るく少しいかれた野郎たちの集まりという感じを受ける。なので、日本も根本的に明るいイメージを作っていくべきじゃないかなぁと私は考えております。
という訳で、MLB,NFLを始めアメリカのメジャースポーツを見ることによって、僕の価値観なり考え方は、いろいろ刺激を受け、日々変わっていくわけだ。MLBやNFLというスポーツには何年も前からじかに触れさせていただいていたが、今回はINDYという僕にとって新しいモータースポーツにどっぷりつかってきたことで、またいつもとは違った新たな刺激を受け自分のトレーニング指導、人生に刺激を与えて頑張っていけたらいいなぁと思っている。
ロジャー選手も、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーで現在ランキングトップを走っていて、確実に成長し続けている。何年も前から頑張って、ここまでくることができて本当にうれしく思っている。残りあと2戦あるので、ルーキー・オブ・ザ・イヤーや、あわよくば高木虎之介に逆転というところまでいって欲しいと願っています。皆さん、ロジャー選手を引き続き応援よろしくお願いします。
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